地域防災クラウドサービスの事業化を支援中(事例紹介)

 社団J-SCORE 人材活用事業部の新事業開発室 AI+IoT事業化検討会では、下図に示すように、会員の知見・経験・技術等を基に新事業を企画し、受皿企業を見つけて新事業を実現する事業化プロデュースを行っています。既に複数のプロデュース案件を支援中ですが、今回は「地方防災クラウドサービス」を紹介します。

地域防災クラウドサービスとは
 社団J-SCORE法人会員の株式会社ソフト開発が首都圏を対象に、社団J-SCORE AI+IoT事業化検討会の支援を受け、更にものづくり補助金も得て、市街地の防災・防犯等に役立つ「遠隔監視型リアルタイム地域防災/防犯クラウドサービス」の開発を現在進めています。社団J-SCOREは、市場調査や顧客開拓(地方自治体等に提案)、さらに事業が立ち上がった後は株式会社ソフト開発と共に首都圏以外の地域へ拡大していきます。

 当初の「地域防災クラウドサービス」は、下図に示すように、水害実績図やアンダーパスなど、水害の恐れのある場所にある電柱・街路灯などの柱状部分に装着した無線式水位計が、道路の冠水深さを、最短10分ごとに1cm単位で計測し、自治体の道路管理PC上に表示すると共に、冠水深さが予め設定した値に達した以後、あらかじめ設定したメールアドレスに冠水深さデータを通知します。WEBカメラ内蔵のために100Vの電線が必要で、主に街路灯や電柱に設置します。

 株式会社ソフト開発の実現する「遠隔監視型リアルタイム地域防災/防犯クラウドサービス」事業は、下図に示すように、約10~数十km2 の範囲の狭い地域に、時間雨量が50mmをこえるような豪雨が短時間に降るゲリラ豪雨等による水没事故の防止を目的とし、道路の冠水状況をリアルタイムで水位情報と画像情報を遠隔で提供するものです。加えてAIによる気象データや過去の冠水状況の学習により、冠水状況の予測情報をホームページやSNSをとおして近隣住民等に提供します。また、平常時は、防犯カメラとして活用可能なシステムとすることで、地域の防犯にも活用できるシステムを目指します。

 

【地域防災への貢献】
 今般、ゲリラ豪雨等が頻発し、人命にかかわる事故も発生している状況で、アンダーパスや周辺より土地が低くなっている場所で、冠水が発生した場合の対応は喫緊の課題となっています。地方自治体や国土交通省では、水位表示として、「側面や路面に水位表示を行う」、「アンダーパスの手前に電光掲示板を設置して注意を促す」等の対策を実施しているもの、現場近くまで行かなければその状況を把握することができません。また、冠水の現況を知らせるWEBサイトはあるものの、検索して見に行かなければ状況を把握できないのが現状です。冠水による水没事故を未然に防止することに対応できる本サービスは、地域防災に大きく貢献できます。

【地域社会への貢献】
 窃盗や特殊詐欺等の犯罪は、減少傾向にあるものの未だに高い水準で推移しているのが現状です。防犯カメラを設置することで犯罪の発生を未然に抑止する効果が期待できます。しかしながら、多くの防犯カメラを設置するにはそれなりの費用が必要であること、個人のプライバシーの問題で設置に消極的なこと等から、十分に設置されているとは言い難い状況であることも事実です。本サービスは、平常時には防犯カメラとして活用することで、これらの課題に対応することができます。豪雨対策と合わせて、犯罪の起きにくい安心・安全な街づくりにも貢献できます。

【将来の住民サービスへの展開】
 本サービスでは、地図上に冠水情報を表示します。自治体や企業と連携することで種々の情報を提供することが可能となります。
 例:避難所の空き状況、病院の混雑状況、役所窓口の混雑状況
   駐車場・駐輪場の空き情報、地域イベント情報の発信、災害時の支援物資の供給状況

 自治体や企業からの住民サービスのプラットフォームとして活用できます。本事業は、これらのサービス展開の第一歩と位置付けています。自治体や地域の企業と積極的に連携し、住民サービスを充実させていきたいと考えています。

 「地域防災クラウドサービス」に関心ある方は、社団J-SCORE 人材活用事業部 事務局へ連絡願います。
連絡先:expert@j-score.or.jp