2021年 年頭挨拶
松井 武久
一般社団法人日本シニア起業支援機構(J―SCORE)代表理事
J-SCOREの会員の皆様
明けましておめでとうございます。
新年のスタートのあたり、年頭の所感を述べさせていただきます。
1.2020年の新型コロナウィルス感染拡大とJ-SCORE
コロナ禍以前のJ-SCOREの活動形態は、【◆講演会・研究会は、講演会場において講師と聴講者が直接対面形式、◆経営改善支援事業は現場における診断と改善指導、◆販売支援事業は企業訪問】が主体でした。
しかし、昨年はコロナ感染防止のため、特例を除き、原則としてテレビ会議(Zoom)およびテレワークとしました。そのような中、当法人の事業(社会貢献活動)が致命的なダメージを受けることなく継続できたことは、会員皆様の自助・共助のお陰だと心から敬意を表します。
2.新型コロナウィルス感染で学んだこと
新型コロナウィルス感染による世界的パンデミックは我々に多くのことを教えてくれました。
①感染者数でみると、「◆経済力世界1位の米国が感染者数は特出して第1位、◆欧州はアジア諸国に比べ多い、◆台湾・ベトナム・タイ・韓国は少ない。◆発生元の中国は人口比率で感染者が少ない、◆日本は、当初は少なかったが、1年経過しても感染は収束が見えず、むしろ拡大している。
②問題点としてみると、「◆グローバル化の中、自国だけでは感染防止が出来ない。◆コロナ感染は、経済力・軍事力では解決できない。◆自粛だけでは、感染防止に限界がある。◆一番困っている人は衣食住に困っている弱者である。◆対策の優先順位が2つに対立(人命対策と経済対策)している。
③対策としては、「◆国連の民主化と機能強化、◆国の根幹になる産業(農・食・住宅・医療等)の最低自給率確保、◆ERM(Enter Risk Management:総合的リスクマネジメント)の重要性。◆法律改正(緊急時の政府の権限と責任)、◆国連SDGsの活動(貧困層撲滅、環境改善等)重視、◆平常時からの国民生活の充実」です。
詳細は、下記の松井代表理事のインタビュー記事を参照下さい。
http://j-score.or.jp/wp2/archives/3278
3.2021年のJ-SCOREの基本方針と重点施策(事業戦略)
新年を迎えてもいまだコロナ感染は収まらず、拡大しています。菅総理は年頭あいさつで「この未曽有の国難を乗り越え、ポストコロナの新しい社会をつくり上げて・・・中略・・・わが国の新たな成長の源泉・・・「グリーン」と「デジタル」・・・中略・・・地方への関心が一層高まる中、デジタル化を進め、地方への人の流れを生み出します。農業改革や観光政策などを通じて、わが国の消費の多くを占める地方の経済を活性化させ、日本全体を元気に・・・。」と述べられています。
2021年のJ-SCOREの重点施策は、上記の国の重点政策(公助)に先駆けて、共助(法人としての活動・役割)として「◆コロナ禍で疲弊した企業への経営改善支援、◆デジタル化社会の構築への活動、◆地方創生と農業改革への活動、◆NPO法人・一般社団法人と連携して、ボランティア活動への充実」を掲げています。
各項目の概要は下記の通りです。
(1)コロナ禍で疲弊した企業の経営改善への支援
①観光業・飲食店の経営改善支援
観光地・ホテル・飲食店で行っていた各種行事をICT・ビデオ・PCを活用した「バーチャル・イベント」への経営改革の支援です。対象イベントは「新年会・忘年会・同窓会・等」です。故郷を離れたところでの県人会や同窓会は、東京在住の人と郷里の人が、ビデオや資料でお互いの近況を紹介し、飲食は故郷の食材と酒を近隣の飲食店から宅配で準備します。なお、賛助として、ふるさと納税の商品を扱っている会社、ふるさと出身の芸能人・著名人にも参加をお願いします。
②ものつくり産業の経営改善
グローバル化により海外依存が増え、サプライチェーンの欠陥で経営悪化した企業の経営改善支援です。具体的には、AI・ICT・ロボットの活用による「働き方改革、工場管理システム改革」によるコスト削減・収益向上を図ることです。
③個人経営のコンサルタントの支援
士業(技術士、会計士、弁護士、中小企業診断士、社会保険労務士等)の事業が全般に縮小し経営悪化しています。
その理由は、「◆コスト削減ため、コンサルタントへの依頼業務を自前で対処または経費の安価なボランティアに依頼することが増えている。◆業務内容が多様化しているので個々の専門(個人)でのコンサルタントでは顧客を満足させることが難しい」からです。
そこで、対策としてJ-SCOREとしては、下記の支援を強化しています。
◆コンサルタントに必要な知識・情報を講演会・セミナーで提供。
◆顧客の要望に応えるために、複数の会員(専門家)でプロジェクトを編成し、協力して支援。
◆異業種のマッチングの機会を強化。
◆人材斡旋事業として、必要な専門家の紹介。
④海外関連事業を営む企業の経営改善支援
今回にコロナ禍で、海外移動が困難なために経営悪化で困っている企業が少なくありません。
その対策として、下記の国内で出来る業務に重点をおいています。
◆技術調査・市場調査の共同作業
◆アフターコロナに向けた、事業協力検討会の開催(少人数で開催)
(2)デジタル化社会の構築への貢献活動
今回のコロナ禍で、日本社会がデジタル化において世界的に遅れていることが判明しました。そこで、昨年の6月に「AI+IoT事業化検討会」を発足し、関係者(10人前後)が毎月数回の頻度で、「既存企業のデジタル化支援とJ-SCOREの新規事業開発」の検討を行っています。その具体的な事例としては下記の通りです。
①地域防災と地域防犯への活用
◆新規水位計(水圧センサー)の活用による「豪雨・浸水の際の冠水深さ検知システム」の開発とその水害被害低減への応用普及。
◆WEBカメラとAI・ICTを活用した「防犯システム」の開発と普及。
◆特殊な赤外線カメラを活用した「社会インフラの劣化診断システム」の開発とその普及
②オンライン教育の「装置とシステム」の開発とその普及
コロナ感染防止のため、教育機関(小・中・高・大学)が休校になり、国を支える大切な人材育成に大きな障害となりました。特に注目すべきことは、「都会と地方、親の貧富」の格差が教育環境に差別を発生したことです。その対策として、政府はオンライン教育の必要性を唱えています。
J-SCOREはこれまでも人材育成に注力してきましたが、更に強化を図っています。
具体的な活動としては、「文字・絵の入力」と「情報の送受信」と「データ保存」と「情報処理」と「情報のアウトプット」の装置とシステムの開発とその普及活動です。これまで黒板を主として製造・販売していた企業と事業協力を結び、早期事業化を進めています。
③デジタル化への高齢者の支援
日本は中国・韓国・台湾に比較し、デジタル化が大きく遅れています。その原因の一つに、高齢者のPCやスマートホンの利用が少ないことが、大きな弊害となっています。そこで、J-SCOREが下記の事業を推進しています。
◆パソコン教室(目的ごとの個人指導)
◆デジタル化への支援
(3)地方創生と農業改革への貢献活動
コロナ禍で、「都会の問題として、事務所での3蜜と交通機関の3蜜」が判明しました。その3蜜を避けるために働き方改革として「テレワーク」が企業で採用されるようになりました。そのことが、「将来も起こり得る感染症や地震・津波などの災害のリスクマネジメントとして、現状の都会集中(関東地区、関西地区、中部地区)から計画的に地方に行政機関や企業を移転することが必要であること」に気づきました。しかし、都会よりも魅力ある地方でなければ人の移動は起きないと思います。
そこで、地方創生として、「地方の強みである自然(農地・山林・河川)を活かして、経済環境と教育環境を充実する」ことが重要だと思います。
ポストコロナとして菅総理は年頭あいさつで「グリーン化・デジタル化を進め、農業改革や観光政策などを通じて、地方の経済を活性化させ、日本全体を元気にする」と言われました。
J-SCOREは設立当初から未来農林事業開発研究会を通じて、「農・食・健康に関する研究会とその普及活動」に注力しています。政府の重点施策と共に、これまで以上に注力します。
未来農林事業開発研究会の詳細は、下記のJ-SCOREのホームページをご覧下さい。
http://j-score.or.jp/wp2/mirai-norin
(4)NPO法人・一般社団法人との連携強化を図り、社会貢献活動を推進する。
J-SCOREは、基本理念・目的を同じくするところと事業協力の契約を結び、お互いに協力して、社会貢献活動をしています。今回のコロナ禍で、直接的・間接的にダメージを受けたNPO法人や団体が数多く発生しました。
そこで、これまで以上に連携強化を進めることしました。具体的な事業協力先は下記の通りです。
◆NPO法人ライフ・ベンチャー・クラブ(LVC)(日本生涯現役推進協議会)
◆NPO法人シニアエキストフォーラム
◆一般社団法人健康寿命実現推進機構
◆日本ビジネスインテリジェンス協会(BIN)
◆合同会社コラバ
◆旭東山森教育信息諮詢(寧波)有限公司
4.会員の皆さんへ
J-SCOREの目的は、【①実務経験豊富な産・学・官の出身者が、その智慧と経験と人脈を最大限に活かして、設立前後の起業家の初期段階を強力にサポートして、起業の早期成功発展を目指すことを社会システム化する。加えて、②シニア自身にとっては、生涯現役として活躍する場を自ら創出し、生き甲斐とモチベーションを獲得し、平均年齢と健康年齢を限りなく近づけることにより、日本が抱えている高齢化社会の問題・課題である「◆年齢制限等で差別しない社会の実現」および「◆高齢者の医療および介護に掛る福祉財源の増大」等の解決策の一環として、全国的な運動に発展させる】ことです。
J-SCOREの夢(最上位の目標)は、「世界平和と国民の幸福の構築」であり、その具体的な行動目標は国連目標SGDS(17項目)」としています。
私は代表理事として、J-SCOREの目的と目標を達成するために、会員約120名の総合力を発揮できるよう、全力で取り組む所存です。
会員の皆様には、先ずは自助(会員一人ひとりの努力)として生涯学習に励み、自らが行動を起こし、加えて、J-SCORE(共助)の成果を最大にするために、J-SCOREの主催する「受託事業・研究会・各種行事」に、積極的に参画し、「各人とJ-SCOREの目標」を達成した時の喜び(支援した人からの感謝)を味わいながら、「慌てず、焦らず、諦めず」の気持をもって、継続的な活動をお願いします。
日本は戦後、幾度も大きな危機を乗り越えた経験があります。その時のリルクマネジメント(自助・共助・公助)を参考に、「未曾有の危機を乗り越え、新しい社会をつくり上げる」ことを誓い、そして、会員の皆さんにとって、今年が実りある年になりますことを祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。
以上